300年の歴史ある四国三大祭りのひとつである新居浜太鼓祭り

新居浜の太鼓台と同じような太鼓台、台車、山車といわれる神輿は瀬戸内海を中心とした西日本のいろんなところでみられます。新居浜太鼓祭りは約300年の歴史があるといわれていますが、起こりがいつであるかはっきりとした資料は残っていません。地域の伝承によると、もともと神社祭礼にて五穀豊穣、大漁を感謝し、また来年の五穀豊穣、大漁を祈願し、氏神の神社へ奉納する一部として、台車(だんじり)、山車(だし)などを奉納していたものといわれ、起源は平安時代、あるいは鎌倉時代までさかのぼるといわれています。神輿(みこし)のお供だった台車、山車が、江戸時代後期、文政年間(1818~1830年)くらいに、新居郡金子村江口の片上治良衛門が太鼓幕に日光東照宮の下絵を書いたことから、十数台に及ぶ神輿太鼓がこれに学び、今の太鼓台の原型となる神輿太鼓と呼ばれるものに変わり、時代を経るにつれて『太鼓台』あるいは『太鼓』と呼ばれることが多くなってきました。

幕末から明治時代初期の太鼓台は、高さ約3m、全長約8mくらいの大きさしかありませんでしたが、別子銅山の開坑による明治中期以降の経済成長とともに太鼓台の大きさが急速に巨大化し、また幕も薄かったものが立体感のある豪華なものに変わり、今の形、豪華な姿へと変化していったといわれています。現在では、新居浜太鼓祭りは、その豪華絢爛、勇壮華麗な祭りとして知られるようになり、毎年10月16日~18日までの祭りの期間中、延べ約35万人もの観客が見にきています。伝統とその集客力から徳島の阿波踊り、高知のよさこいまつりと共に四国三大祭りのひとつに数えられています。

祭りの主体は神事です

今では観光化が進み、お祭りといえば各地区の統一寄せのイベントが主眼となってしまったことによって神事が薄れている感がありますが、その伝統(神事)は今でも受け継がれております。

祭り初日はまず各太鼓台ともに氏神となる神社へ行き、氏参り(奉納式)を行います。(五穀豊穣、大漁のご報告をし、一緒にお祝いするため天から地へ神様をお呼びします)氏参りで天から地へ神様をお呼びした太鼓台は、祭りの期間中はずっと神様と一緒に各太鼓台が所属する地区を回ったり、同じ氏神の地区を回りみんなで五穀豊穣、大漁を祝い、また来年の五穀豊穣、大漁を祈願します。(神様と一緒に五穀豊穣、大漁を祝います。また来年の五穀豊穣、大漁を祈願します)

最終日には氏神の御神輿が巡回して御払いを行い、最後に氏参りでお呼びした神様を宮入りし、また来年の五穀豊穣、大漁を願うよう、地から天へお送りして祭りは終わります。(来年の五穀豊穣、大漁を願い、お呼びしていた神様を地から天へお送りします)

この祭りのために日々活動している新居浜在住の太鼓台関係者や地元の方々、また新居浜を離れ、市外県外に住んでいる祭り大好きな人たちにとって、この3日間の祭りは、本当に毎年待ち遠しい最高の3日間の祭りです。10月16日~18日の祭り3日間、新居浜は祭りの熱気に包まれています。

豪華絢爛・勇壮華麗なかきくらべ

3日間ともに4つの各運営地区(川東・川東西部、川西、上部、大生院)ごとに、それぞれの地区の特徴を活かした統一寄せ(かきくらべ)というイベントが開催されており、そのイベントでは、各運営地区の全太鼓台が集まり、そこで高さ約5.4m、長さ約11m、幅約3.4m、重さは約2.5t、約150人の「担き夫(かきふ)」と呼ばれる男たちが4拍子の太鼓「ドン、デン、ドン」の音にあやせ、「そりゃ~、そりゃ~」の掛声のもと太鼓台を肩で支えて担ぎ、各太鼓台同士で担ぎ方の優美さや勇壮華麗さを競います。その姿はまさに豪華絢爛、勇壮華麗という言葉にたとえられ、見物している観客のみなさん、また太鼓台を担いでいる人すべてを魅了することでしょう。

また、ここ近年ですが各運営地区(川東・川東西部、川西、上部、大生院)ともに16日の夜にもイベントを開催されており、また日中とは違ったライトアップされた太鼓台を見ることができます。

新居浜太鼓祭りは、豪華絢爛・勇壮華麗なかきくらべで書いた通り、4つの各運営地区(川東・川東西部、川西、上部、大生院)ごとに、それぞれの地区の特徴を活かした統一寄せ(かきくらべ)というイベントが開催されております。

昔は喧嘩祭りともいわれていました

各運営地区ともに、無事故で明るい平和な祭典とするため、平和運行(喧嘩は禁止されています)を遵守して運行されておりますが、昔から太鼓台同士をぶつけあう喧嘩(鉢合せ)が行われてきました。そのことから、新居浜太鼓祭りは、喧嘩祭りとも言われています。その喧嘩となる理由としては、昔は農家の用水路や漁師の漁場の取り合いなんかのもめ事がそのまま祭りでの喧嘩になってたらしいです。今はまたいろいろと違う理由があると思いますが・・・。

お祭り動画

ここまでのご紹介で、どんなお祭りなのか、だいたいイメージがわかっていただけたのではないかと思います。そこで、実際に動画を見ていただき、さらに雰囲気を感じとっていただければと思います。見ちゃったら、それはもうさらに祭りの虜になっちゃいますよ!

太鼓台の運行と統制

各地区の太鼓台の運営管理は、自治会や青年団などが中心となり、運営委員会もしくは保存会、有志などを組織して行っています。また、所属する地区へも各太鼓台から代表委員などを派遣し、各地区の運営委員会を組織しています。各地区の運営委員会は、所属する太鼓台の運行管理をし、かきくらべを実施するほか、無事故で明るい平和な祭典とするため、各種申し合わせ事項を決定しています。全市的な取り組みを図るため、市議会、市連合自治会、警察、行政、各地区太鼓台運営委員会、商工会議所、神社庁、氏子総代会、観光協会などの代表で新居浜市太鼓祭り推進委員会を組織し、平和祭典推進事業を実施しています。

  • 太鼓台従事者(川東西部地区の運営委員会申し合わせ事項及び運行役員資料より)
    • 地区の運営委員会(各太鼓台ごとに6人くらい)
      • 代表・・・運営委員長、副委員長、事務局長、会計、相談役、会計監査
      • 各太鼓・・・自治会長、現場代表者、代表委員(正)、代表委員(副)、代表委員(副)
    • 自地区の太鼓台の運営役員(約90人)
      • 運営委員長、○○地区運営委員会、現場責任者、事故防止委員長、事故防止委員長兼車両係、指揮者、太鼓係、重係、棒端責任者、会計、総代、運行係、顧問

この役員の中でも若い人たちに特に人気があるのは、太鼓台の演出を図るため通常前後に2人ずつ計4人が「かき棒」の上に立ち、指揮棒(手旗)と子笛を使い、威勢のいいかけ声を誘ってかついでいるかき夫の指揮を行う指揮者、太鼓台の中心部に固定された大型の太鼓を、2人の太鼓係が向かい合って叩き、指揮者の演出により、叩き方を変化させかき夫の担きかたの息を合わせる太鼓係、太鼓台が大型化し、運行途中の電線など障害物を避けるため「重(じゅう)」の上に乗ってそれらの排除作業を行う人たちで、通常、前後2人ずづ計4人が乗っている重係、あとは太鼓台の管理、運営を司る青年団だと思います。自分も小さい頃は、特に祭りの花形である指揮者に憧れ、よく割り箸にセロテープでハンカチをつけ、コタツの上やソフャーの上で笛を吹きながら、指揮者の真似をしていたものです。それくらい、小さい頃から大人の太鼓は小さい子供達にとっても憧れのものでした。地元にいたら、絶対に青年団に入って指揮者を目指していたことでしょう。

(注)新居浜太鼓祭りのかきふ(担ぐ人)として参加できるかについてですが、事前に自治会所定のかきふ登録をしなければ参加できません。各地区の太鼓台により手続きはさまざまですが、私の地区の太鼓台の場合、毎年、自治会所定の手続きによりかきふの登録を行い、各個人毎に祭り前に保険に加入します。その手続きが完了した後、その年のかきふの許可として腕章が渡されます。従って、その腕章及び所定の法被を着ていないと、かきふとして参加することはできないこととなります。

太鼓台の構図

太鼓台は各地区ともにそうだと思いますが、太鼓を解体したあとは保管場所である太鼓蔵という場所に、太鼓のベースとなるものや飾り幕が大事に保管されています。飾り幕などについては、定期的に青年団などの方が蒸し干しをしていますが、毎年お祭り前になると、骨組みとなる太鼓を組み立てています。まずは、その組み立て風景から、飾り幕をつけていない太鼓台の姿から各部位の名称について説明します。

番号順に、各部位の名称は①重(じゅう) ②重受け ③四本柱 ④すま ⑤高覧幕(こうらんまく) ⑥横棒  ⑦かき棒 ⑧台場 ⑨太鼓 といいます。太鼓台を傾けて、下から太鼓を入れます。次に、太鼓台の飾り幕をつけたときの姿の構図について説明します。

前述した太鼓台の組み立てたが完了し、飾りまくをつけると、それはもう豪華絢爛、勇壮華麗な太鼓台の出来上がりです。ここでは、飾り幕などをつけた時の太鼓台の各部位の名称について説明します。

番号順に、各部位の名称は①天幕(てんまく) ②くくり(4ヶ所) ③むすび(菊むすび、八重菊むすび) ④布団締め(ふとんじめ)(4面8枚) ⑤房(4角8本) ⑥上幕(4面4枚)  ⑦高覧幕(4面4枚) といいます。

地元で言い伝えられているいわれとしては、①天幕は天空、即ち宇宙を示し、紅白は太陽の輝きを示すと言われ、②くくりは雲を示すと言われ、⑤房は雨を示すと言われ、全ページでお話した四本柱は天上を支える柱で、東西南北を表現していると言われています。また、飾り幕については、④布団締めは「阿龍・吽龍説」、「雄龍・雌龍説」、「昇龍・降龍説」、「降雨神説」という呼称の説があり、下部の⑥上幕や⑦高覧幕は、伝承によると四方神具現れとも、大漁豊漁を祈願する漁業や海洋に関する意があると言われています。現在の刺繍を大きく分類すると、禽獣の幕、御殿の幕、禽獣と御殿の幕、武者絵の幕の四分野に分けられます。各地区ともに、それぞれ個性のある飾り幕となっております。

どうですか?各地区の太鼓台ともにそれぞれ個性のある飾り幕となっています。それをみるだけでも、非常にすごいな~と感じていただけるのではないかと思います。本当、生で見るとすごい綺麗でカッコイイですよ!

最後に

ぜひとも10月16日から18日まで愛媛県新居浜市で開催している、豪華絢爛、勇壮華麗な新居浜太鼓祭りを一度、見にきてください。なお、開催日の運行予定や開催場所等の情報は、以下の新居浜市ホームページのボタンをクリックして、ご確認ください。

新居浜市ホームページ

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